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2024.06.10
ちよだニャンとなる会 理事会・総会報告ダイジェスト

 

6月1日(土)13:30分~14:30分、富士見区民館にて、ちよだニャンとなる会が特定非営利活動法人になって初めての第1期(2023年6月1日~2024年3月31日)年度末の理事会が開かれ、続く14:45分~16:15分総会が開催されました。

千代田区の「猫連合会」などと明るくお伝えしたいところですが、監事の監査を受けた「年次決算報告書」を理事のみなさまに前もって見ていただいています。

お集まりくださった監事・理事のみなさまの表情は一様に険しく、理事会が始まりました。大赤字の決算となっているためです。
定款第33条の規定に基づき、代表理事の古川尚美が議長を務め、議事録署名人2名が選出されました。

第1号議案 事業報告及び会計報告書の決算、第2号議案 事業計画及び予算の議案審議に入る前に、業務執行理事の香取章子より、ちよだニャンとなる会の運営が大変、厳しいものになっている最大の原因についてご説明させていただきました。

●千代田区では2000年に議会全会一致で「飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費助成事業」が始まり、区が事業の普及員(ボランティア)を募集して、普及員がネットワークを強め、ちよだニャンとなる会が発足したという経緯がある。

区に地域からの苦情や相談が寄せられると、保健所が車に捕獲器を乗せ、ボランティアを集めて、全地域で猫の手術を徹底して行なった。

捕獲された猫が病気や負傷で手術どころではなかった場合は、ボランティアが自分で引き取ることはあったが、ボランティアが手術費用を負担することはなかった。

●2005年くらいから、生後まもない子猫に手術を行ない元の場所に戻すことはできない、2、3か月待ってから手術しようと思っていたら、子猫が成長とともに移動して、結局は繁殖につながっているという声が上がり、子猫については近隣の住民を対象に譲渡を進めていくことになった。

譲渡するためには最低限、駆虫やワクチン接種、ウイルス検査が必要。その費用についてはボランティアが負担していた。

●去勢・不妊手術が徹底されるなか、2010年くらいから、手術費の予算から「保護・譲渡支援事業」が行われるようになり、猫を保護して譲渡するまでの動物病院の入院費、処置費、傷病の治療費等が助成されるようになり、ボランティアの費用負担が緩和されていった。

千代田区からの猫が東京都に引き取られることはなくなり、千代田区は「殺処分ゼロ」を実現。

●大規模再開発が進み、東京駅・丸の内をはじめ交通の激しいオフィス街に猫がいること自体が動物愛護に反しているという声が上がり、2015年くらいから手術済みの個体を含めて猫を保護して譲渡する活動が推進されるようになった。

●2016年から東京都が「殺処分ゼロ」を掲げるようになる。
千代田区から都に引き取られる猫はどのみちゼロだったが、ちよだニャンとなる会は、全頭保護へと向かうようになり、経済的な負担はどんどん膨れ上がっていった。

●9割の住民がマンションで暮らす千代田区で、「預かりボランティア」に期待するのは現実として難しい。
018年、動物病院での有料預かり費用が年1千万円を超えたことをきっかけに、私たちは秋葉原に保護猫ホームを開設。
その後は、猫の保護・譲渡を推進するためにシェルターを運営することとなった。

●東京都では、ボランティアが多頭の猫を保護している現状を緩和するべく、令和2年度に区市町村が利用できる新たな予算「地域における相談支援体制の整備事業」(各区市町村につき年1000万円×3年間)を始めた。

この予算が使われれば、シェルターの家賃などのランニングコストや動物を搬送する時のタクシー代にもあてることができて、ちよだニャンとなる会の自己資金拠出もそうとうに削減できるはずと思われた。

ところが、いち早く千代田区が利用することになったと思ったら、都の新しいメニューの予算は、それまでの手術費助成の予算と保護譲渡支援の予算にすり替えられただけだった。コロナ禍くらいからちよだニャンとなる会は極度の財政難に陥り、2023年財団法人ちよだニャンとなる会を解散することとなった。

●2023年からようやく保健所の体勢が変わり、都の「地域における相談支援体制の整備事業」の予算がついに適正に使われるようになるに違いないと信じて、私たちは東京都の認証を受け、NPO法人となった。ところが、相変わらず猫の手術費と保護譲渡を支援する医療費への助成のみ。

現在、私たちが千代田区内で地域からの相談を受けて保護しているのは、過去に行政とボランティアが手術を行ない、地域でお世話されてきたが、高齢・傷病となって、誰も引き取れないという猫がほとんど。ペットの猫の引取の相談が増えたのも、ここ3,4年のことである。

●人と同様、猫も「ピンピンコロリ」とは行かない。私たちは、自己資金でシェルターを運営しつつ、譲渡の可能性のないまま高齢・傷病の猫を保護しているのが現状。大勢のみなさまからの寄付があればこそ、ここまでの赤字で抑えられているが、千代田区の24年前からの助成制度のままでは、私たちは利用できない。

今期になってから、ちよだニャンとなる会は、千代田区への助成申請を行っていない。特定非営利法人ちよだニャンとなる会が極度の財政難に陥っているのは、それがいちばん大きな原因だ。

そうして第1号議案と第2号議案についての質疑応答が行われましたが、責任者である古川代表と香取業務執行理事へは現状を懸念する厳しい声が寄せられました。

「中心となっている理事が自分のお金で大赤字を補填している状況は、NPO法人として健全ではない。個人の老後の資金を使い果たしているのではないか」。
「都の予算が千代田区で適正に執行されていない現状を打開すべきだ」。
「ちよだニャンとなる会が千代田区の行政に貢献していることはみなさんが知っている。助成が使えていないこの事実を区民会員みなさんに手紙で知らせるべきではないか。みんながみんなSNSを見ているわけではない」。

総会の始まる時間が迫るなか、緊急「動議」が出されました。ちよだニャンとなる会として、区長と区議会議長宛てに「陳情書」を提出することになったのです。

すみやかに陳情活動に入るよう、古川代表と香取業務執行理事は理事会より一任されたのでした。 続く総会でも、力強い応援の言葉をいただき、閉会となりました。NPO法人を民主的に運営することの厳しさと心強さを身に染みて感じた理事会、総会でした。

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